これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
私は今までのところ、臨床系の学会に参加したことはない。 が、他の医師の話を聞く限りでは、少なからぬ学会が惨憺たる有様であるらしい。
専門医資格を維持するための要件として、学会への参加を義務付けている例は多いらしい。 その結果、参加受付をして参加費を払い、そのまま「参加せずに」帰る医師が少なくないが、それはマシな例であるらしい。 酷いのになると、同僚の中で一人だけが代表して現地に趣き、全員分の参加費を払い、参加証だけ受け取って帰ることもあるという。 要するに、医学に対する意欲が乏しく、科学者としての良心を欠いているのである。
実際に学会会場に入った者も、そのまま最後まで参加するとは限らない。 途中で抜け出して遊びに行く者も少なくないようである。 一体、何のための学会なのか。
中には「どうせ面白い発表がないから」などと弁明する者もいるが、それは言い訳にならない。 面白くないと思うのは、その人自身の興味の幅が狭いからであって、つまり、不勉強だからである。 「発表内容の程度が低い」と言う者もいるが、それなら、適切な教育的質問をするべきである。 いずれにせよ、大学等から参加費の補助を受けながら学会をサボタージュして遊び呆けることを正当化することはできない。
学会に参加する以上、前日の晩は夜更しせずに鋭気を養い、当日は全力で発表を聴き、機会あらば鋭い質問を飛ばすのが、科学者として正しい姿である。 恥というものを知らぬ医者が、多すぎる。 そして、それをみた研修医の中には「そういうものなのだ」と思う者もいるようだから、どうしようもない。 指導医も研修医も、非常識である。
もちろん、医学以外の業界においても、不謹慎な学会参加者がいないわけではない。 しかし、さすがに参加費だけ払って会場を後にする、などという話は、聞いたことがない。 何より、それを悪いことだと認識していない点において、医者連中の頭の悪さは群を抜いている。