これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
予め明記しておくが、この記事は、特定の誰かのことを念頭に置いて書いているわけではない。
新しい一年次研修医が来て、一週間以上になる。 みていると、一年前の我々と同様に、医学・医療に対する態度は両極に分かれているように思われる。
すなわち、医師資格を取得したという現実と、相応の医学・医療的な実力を備えていないという現実の乖離に不安を感じ、勉強せねばならぬと焦っている人々がいる。 彼らのうちの多くは、これまでキチンと基礎を蓄えてこなかったことを、当然ながら、反省しているであろう。 もう一方の極に属する人々については、敢えて言及する必要を認めない。
学生時代に「まずは国家試験に合格せねばならない」と言い訳をして、まともに医学を修めなかった者は多いであろう。 そして、そういう人々の多くは「まずは仕事を覚えないと」と言い訳をして、研修医になってからも、やはり医学を修めないであろう。 それが多数派であることに安心して、自身が医学を識らぬという現実から目をそむけて生き続ける者も、遺憾ながら、少なくないであろう。
研修医になった今が、医学を修める最後の機会である。
「あなた方は、それで、良いのか」という問いを、私は、いくつかの形で彼らに投げかけているつもりである。 少なからぬ人数が私を煙たがっており、中には私を極力無視することに決めた者が存在することも、よく知っている。 好きにすれば良い。もとより、多数派に好かれようとは思っていない。 医者が医師免許に守られてヌクヌクと生きられる時代は、やがて終わる。我々が終わらせる。
その時に生き残るのは、はたして、誰か。