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2017/04/01 研修医二年次

北陸医大 (仮) に来て、ちょうど一年が経った。 我が大学の恐るべきところは、地方大学としての卑屈な精神が染みついている点である。 自分が世界一になるのだ、医学と医療の明日を切り拓くのだ、という気概を持つ学生や研修医が、今の北陸医大に、はたして何人いるだろうか。

もちろん、誇り高く才覚溢れる学生や若い医師が、いないわけではない。 将来的に少なくとも全国レベルで活躍するであろう学生を、これまでに 3 人はみた。 また、私の野望としては、内科の某医師と、外科志望研修医の某君と、病理の私とで、いずれ北陸医大を代表する三教授として我が大学を日本一の座に押し上げたい。 が、我々は圧倒的に少数派なのであって、北陸医大の若手の多数派は、医師として無難に小さくまとまろうとしているようにみえる。 だいたい、北陸医大を卒業した後、県内に残る学生が多すぎる。

北陸医大は、大学入試の偏差値表でいえば、京都大学や名古屋大学よりも格段に劣る。 が、センター試験をはじめとした大学入試の点数など、頭のデキの良し悪しを測る指標にはならぬ。 そのあたりを理解している京都大学などは、学部・学科にもよるかもしれないが、入試におけるセンター試験の比重を軽くしている。 一方、我が北陸医大に、「あんなもので、人間の才覚は測れぬ」とうそぶき、 「我々は、大学のブランド力を恃む京都大学や名古屋大学の連中に対し、実力では負けぬ」という自負と誇りを持っている人々は、どれだけいるのか。

さて、話は変わるが、過日、北陸医大の某教授と話をした後に、思ったことがある。 その教授は、なかなか好戦的な人で、北陸医大改革派の筆頭ともいうべき人物である。 当然、病院内に敵は多いようである。味方も少なくはないが、数でいえば、敵の方が多いかも知れぬ。

何事かを成そうとすれば、保守的な勢力から嫌われ、反発されるのは当然である。 好き嫌いが分かれるというのは、その教授が真に改革を試みていることの証左であって、恥じるべきことではなく、むろん、改める必要もない。 だいたい、無難に物事をやり過ごすことばかり念頭にあるような烏合の衆に嫌われたところで、何ら実害はない。

我々は、大いに嫌われる道を往けばよい。我々こそが、次代を創るのである。

2017.04.02 語句修正

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