これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/07/18 薄っぺらい研修医

医学科生や研修医、あるいは若手医師の中には、何かを勘違いしている者も珍しくない。 本当は大した学識もないのに、肩書だけを根拠に、まるで自分がエリートである、優秀である、かのように思っているのである。

彼らは大抵、自信に満ちた態度で医学的な話をするので、非医師からすれば、とても優秀な人物であるかのように、みえるかもしれぬ。 が、冷静に彼らの話を聴いてみると、つまり「上級医が、こう言っていた」「ガイドラインに、こう書いてある」という内容ばかりで、 彼ら自身による判断、彼ら自身による分析は、ほとんど、ない。 少し深いところをつつかれると「それは、そういうものなのだ」「そう思うなら、君は、そのようにすれば良い」などと言って、逃げる。 指導医からすれば、よく働く便利な研修医、というような位置付けであって、かわいがられることはあっても、恐れられることは、あるまい。

本当に優秀な研修医や学生というのは、指導医から、ある程度は恐れられるものである。 たとえば症例検討会などで、その研修医が「先生」と言いながら挙手すると、発表者は「来たか」と身構えるのである。

東京の某有名市立病院で研修を受けている元同級生と、過日、電話で話した。 彼が言うには、同期に「意識高い系」研修医が多いことに辟易している、とのことである。 症例発表の場では、患者の細かな検査値をイチイチ暗記して話しているが、一体、何の意味があるのか。 自分達で勉強会などを開催してはいるが、ガイドラインやマニュアルの内容をなぞるだけで、医学的な深みがない。 といった具合である。

だいたい、想像がつく。そういう「一見、専門的で高度な話をしているようにみえるが、よく考えるとペラペラで中身がない」のは、 エラい肩書のセンセイの講演でも、しばしば遭遇する。 要するに、他人のフンドシで相撲を取っているのである。

これは、ひょっとすると私の偏見かもしれないが、そういうペラペラな話をする医者というのは、だいたい白衣の前ボタンをだらしなく開けていたり、 マスクを正しく着用していなかったり、あるいは腕時計や指輪をつけたまま診療したりしているように思う。


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