これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/07/09 口論 (2)

閑話休題、特に偉いわけではないのだから、もちろん、医者が非医師の教職員より多くの給料を受け取ることには、何らの合理的根拠も存在しない。 しかし現実には、大学の医師の多くは時給 1 万円程度のアルバイトをすることで高収入を得ている。 それを「汚らわしい」などと非難することはあっても、その高収入自体に憤る人は多くないであろう。

しかし「大学の給料だけでは生活できない」と言われれば、話は異なる。 同じ大学職員なのだから、医者も、他の職員と同程度の給料で生活するのが、本来の姿なのである。 それを「生活できない」とは、何事であるか。 「医者は、他の職員よりも高い生活水準を保つのが当然なのであって、そのためには、大学からの給料だけでは足りない」と、暗に言っていることになる。 それを聴いた非医師の大学教職員が怒るのは、当然であろう。

要するに、あなた方は、たぶん無意識なのであろうが、医師以外の人間を見下しているのである。 そして、そのことを、医師以外の人々は、あなた達以上に、よく理解しているのである。 その他人を見下した態度を如実に表しているのが「大学の給料だけでは生活できない」という言葉なのだから、それで怒らない方が、むしろ、おかしい。

医者の給料は、仕事量の割には多くない、などと言う者もいる。 馬鹿げている。 基礎研究者達が、どれだけ仕事をしているのか、深夜早朝および土曜日曜に、基礎研究棟を覗いてみるが良い。

医者は人の命を預る責任重大な仕事だから、などと妄言を吐く者もいる。 医者が預る命など、どんなに多く数えても、せいぜい年に数百人であろう。 それが、基礎医学、基礎科学、あるいは警察官や自衛隊などに比して、そんなに重い責任なのか。

こういう医者批判を、私は、周囲の人々に対しても、あまり遠慮なく述べている。 これを他人に対する包容力に乏しく、考え方の多様性を認めない、狭量な態度である、とみる人もいるだろう。 しかし、狭い医師の世界でのみ通用する「常識」に固執し、社会に対する協調性を欠いているのは、あなた達の方である。

以上の内容について、たぶん、医師の 9 割は反発し、非医師の 9 割は賛同するであろう。


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