これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/07/06 Arrowhead

Arrowhead という英単語がある。 これは、矢の先端にある、標的に突き刺さる部品の名称であって、日本語でいえば鏃である。 もちろん「鏃」は「やじり」と読む。 つまり、英語では「矢の頭」である部品が、日本語では「矢の尻」なのである。 ここまでは、日本語の常識といって良い。 しかし、この常識を知らぬ者が、少なくとも医学関係者には多い。

医学に限らず、教科書等において写真の一部を示すのに、矢印を用いたり、「矢印のうち鏃の部分だけを取り出した記号」を用いたりすることは多い。 この後者の記号を、英語では arrowhead と呼ぶのに対し、日本語の教科書では「鏃」ではなく「矢頭」と書いていることが少なくない。 もちろん「矢頭」などという日本語は存在しない。要するに、日本語を知らない翻訳者が、英語の arrowhead を、そのまま「矢頭」と訳してしまったのであろう。 なお、私は工学の世界を離れて久しいので、物理や工学の教科書で、この記号を何と呼んでいたかは覚えていない。


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