これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/11/10 白衣

我が北陸医大 (仮) では、スクラブと呼ばれる半袖の診察衣を着用している医師が多い。 一方、私は襟つきのシャツを着てネクタイを結び、長衣型の白衣を着用するという、名古屋大学における男性医師の標準的な服装を基本としている。 これは、患者に対し「キチンとしている」という印象を与えるための小技でもあるのだが、私の名古屋大学に対する愛校心の表明という意味もある。

さて、私は、背部に「北陸医大 病理」と大きく刺繍された白衣を持っている。 さすがに他科での研修中には着用しないが、夜間や休日は、この白衣を着て院内を徘徊している。

この白衣は我が大学の病理部のユニフォーム、というわけではなく、私が勝手に作ったものである。 ある時、この白衣をみた某教授は「自分で作ったのかね」と尋ねた。 私が「はい」と答えると、教授は「(病理の) 教授の許可は得たのかね」と問うた。 私がニヤリとして「いいえ」と答えると、教授もフフフと笑った。

常識的に考えれば、こういうものを作る際には、事前に部門の責任者である教授の承諾を得るのが無難である。 私も、勝手に作ると叱られるのではないか、と、いささか懸念はしたのだが、敢えて教授に黙ってコッソリと作った。 というのも、事前に申し出て「よろしい」と言われれば問題ないのだが、教授が難色を示した場合に、ややこしくなるからである。 むしろ、明らかな不正や規則違反でない以上、勝手に作ってしまった方が、教授も文句を言いにくい。

ある休日、私がこの白衣を着て病院内を歩いていると、ある外科医から「『病理』を背負っているな、フフフ」と声をかけられた。 私はニヤリとして「ええ、そうです、フフフ」と返事した。

なお、この白衣の左袖には「病理研修医」という肩書と私の名前も刺繍されているので、研修医のうちしか使えない。 来年度からは、新専門医制度の下で私は「専攻医」という立場になるので、「病理専攻医」と刺繍した新しい白衣を調達しようかと考えている。


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