これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2018/02/13 コネ

少し間があいた。 今日も、帰りの最終バスの時刻が迫っているので、簡単に書ける内容を記すに留める。

以前にも何度か書いたが、北陸医大 (仮) には、卑屈な人が多い。 理由は知らぬが、学生も卑屈な者が多いようであり、我々が日本、あるいは世界の医学や医療を牽引するのだ、というようなことを公言する者は、滅多にいない。 遺憾ながら、そういう点において、我が大学は名古屋大学などの後塵を拝しているのが現状である。

現状では、某業界団体の策謀が奏効しているせいか、医師の労働環境は、すこぶる良好である。 医師免許さえあれば、職にあぶれる心配は皆無であり、だいたい日本中のどこにいっても、厚待遇の仕事が山ほど転がっている。 もっとも、世間知らずの医者は「仕事がキツい割に給料は安い」などと言っているが、それは妄言であるので、耳を貸す必要はない。

売り手市場なのである。 医師免許を取得し臨床医になろうとする者は、まず初期臨床研修を受けなければならないが、これは全国どこの研修病院に行っても構わない。 自大学や、いわゆる関連病院に限定する必要はない。 私も、名古屋大学を卒業し、縁もゆかりもない北陸医大に来た。 ところが北陸医大の学生と話をすると、大抵、県内の病院か、あるいは他県出身者であれば地元に戻るか、ぐらいの選択肢しか考えていない者が多い。 京都大学に行こうとか、東京の有名病院で研修を受けるとか、あるいは北海道に行ってみるとか、そういうことは、あまり考えないらしい。 これは学生だけでなく、初期研修医も同様であって、研修終了後に他大学に移ることを考えている者は、稀なようである。

よく話してみると、中には、地元でも北陸でもない他県に移ることを考える者もいないわけではないらしい。 ところが、そういう者も、「○○先生のツテで……」というようなことを言う。 要するに、コネがなければ怖くて行けない、というのである。

なぜ、そんなことを思うのか。 なぜ、実力で勝負しようとしないのか。 いつから、諸君は、そのような卑屈な心を抱くようになったのか。

医学科に入ってから医師免許を取得するまで、学問に向かう姿勢に問題があるのではないか。 名古屋大学では「ガイドラインは使うものではない。作るものだ。」というようなことが公然と言われている。 学問に向かう者は、すべからく、そのような精神を有するべきである。 そういう基本的な部分の教育が、我が北陸医大には、欠けているのではないか。


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