これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
初期臨床研修医には、研修への専念義務が課されており、副業は禁止されている。平たくいえば、アルバイトは、できない。 これは医師法第 16 条の 3 にある「臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。」という規定が根拠であり、 厚生労働省は明確に研修医のアルバイト禁止を通達している。
ところが現実には、一部の市中病院では、研修医が公然とアルバイトを行っているらしい。 たとえば職場などの健康診断に派遣され、日当を得る、といった具合である。 この種のアルバイトは、日当数万円が相場であるらしいので、かなりの収入になる。 私が研修で訪れた某市中病院でも、研修医がそのようなアルバイトを行っていたし、 中部地方の某市中病院に勤める友人から聞いた話でも、そこの研修医は当然のようにアルバイトしているらしい。 気づいた方は、ぜひ、厚生労働省に密告すると良い。
この専念義務についてであるが、初期臨床研修と並行して大学院に通うことは 厚生労働省も認めている。 むろん、初期研修の片手間に大学院生をやる、などというのは、他分野の研究者からすれば、眉を顰めるような話である。 研究というのは、そのような生半可な姿勢で遂行できる性質のものでは、本来、ないからである。 あるいは、現在の医学系の博士課程は、その程度のものなのだ、と言うこともできよう。
ついでに書くと、初期臨床研修というのは、医師法第 16 条の 2 「診療に従事しようとする医師は (中略) 臨床研修を受けなければならない。」という規定に基づく制度である。 すなわち、初期臨床研修を受けていなければ、医師免許を持っていても、診療に従事できない。 それならば、初期臨床研修を修了した者に対して医師免許を交付する方が合理的であるのだが、歴史的経緯から、このようになっている。 初期研修医が上述のようなアルバイトをすることは、この点からも問題である。 臨床研修を終えていない以上、研修医は、まだ診療に従事できないからである。
従って現在では、マトモな病院では、研修医単独で診療させることはない。 むろん我が北陸医大 (仮) でも、私の知る限り、研修医の単独診療は行われていない。 しかし一部の病院では、救急外来で研修医が単独診療をやっているらしいのだが、これは医師法違反である。 だいたい医者という連中は、遵法意識が低く、法令よりも自分の価値観を優先するきらいがある。 だから私は、医者という連中が嫌いなのだ。
なお、Wikipedia の「研修医」の項においては、このあたりについて、かなりデタラメな記載がなされているので、注意が必要である。