これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2018/04/15 シリア攻撃

米英仏が、シリアに対する攻撃を行った。 シリア政府が化学兵器を自国民に対して使用したことに対する対応である、という。 いうまでもなく、この攻撃はシリアの国家主権を侵害するものであり、不法にして不当である。平たくいえば、侵略である。

そもそも今回の件においては、シリアが化学兵器を使用したという証拠はない。 証拠もないのに一方的に非難して攻撃を行うのは、近年の米英が得意とする手口である。 イラクの時も、そうであった。 米英などは、イラクが大量破壊兵器を密かに保有している、と主張した。 イラクは国連決議に基づく査察を受け入れたが、そのような兵器は、全く発見されなかった。 そして査察が継続されている最中に、米軍はイラク侵攻を開始した。 結果として査察は中止され、査察団は、何の証拠も発見できないままに撤退したのである。 ついでにいえば、イラクに対しては米英は湾岸戦争以降も武力攻撃を継続していたのだから、悪質である。

仮にシリア政府が化学兵器を自国民に対して使用したという事実があったとしても、諸外国が武力介入する根拠にはならない。 確かにシリアは、化学兵器の放棄に同意している。 この同意自体が、米国等の武力的威嚇によるものであって無効である、とする意見もありえるが、少なくとも形式的には、放棄に同意した。 だから、その同意を反故にして化学兵器を使用したとなれば、非難されることはやむをえない。 しかし、シリアが約束を反故にしたからといって、シリアに対し武力攻撃を行って良いということにはならない。

国際連合憲章は、各国家の主権を互いに尊重することを、加盟諸国に求めている。 シリアで虐殺が行われているというのが事実であって、それに対し武力介入が必要であるとしても、それを実行するにあたり、 少なくとも国際連合安全保障理事会の決議は必要である。 さらにいえば、安保理決議があれば主権国家に対する攻撃が容認されるのか、という点にも疑問の余地はある。

シリアが現に国際平和に脅威を与えているという証拠がない以上、安保理にもシリア攻撃を承認する権限はないと考えるべきであろう。 だいたい、パレスチナ人に対する虐殺を何十年も続けている某国に対し、米英は制裁を加えるどころが、武器を供与しているではないか。

いずれにせよ、今回の攻撃は、安保理決議なしに、米英仏が独自に行ったものである。 かつてイラク共和国軍がクウェートに侵攻し、ドイツ軍がポーランドに侵攻し、大日本帝国軍が中華民国に侵攻したのと、全く同じことである。

外国からの不正な武力の脅威が存在するとき、それに対し抵抗し、反撃することは、国際連合憲章においても認められている。 米英仏による不当な侵略が現に存在する以上、これに対し武力をもって反撃することは、正当な権利である。 2001 年の時にも、そういって、対米攻撃を支持する勢力がいた。


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