これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2018/05/25 大学統合

名古屋大学と岐阜大学が経営を統合しようと画策しているらしい。 いわゆる競争的資金ばかり増やされ、純粋に学問をする機会が失われ、金策に奔走することを求められる昨今の大学事情にあって、生き残るための方策なのであろう。 一つの選択肢として、そういう手段もありえるのだろうが、私としては、そういう方向には走ってもらいたくなかった。

一年前に書いたように、私は、名古屋大学への定期寄附を一時期、行っていた。 大学からの慇懃無礼な「礼状」に腹が立ったので中断したが、いずれ、ほとぼりが冷めた頃に再開しようかと思っていた。 が、この経営統合を目指すというニュースをみて、その気もなくなった。 「国立大学法人 名古屋大学」に対してなら寄付する気にもなるが、「国立大学法人 名古屋大学・岐阜大学」に対しては、寄付などする気にはならぬ。 そんな資金があるなら、その分は京都大学や麻布学園への寄付を増額する。

本来であれば、大学における教育・研究は、国家が全面的に支援すべきものである。 自由な教育・研究環境なしに優れた成果が上がるはずはなく、いわゆる競争的資金というものは、学問を破壊する以外の効果を持っていないことは、研究者ならば誰でも知っている。 実際、文部科学省科学技術・学術政策研究所は、専門家に対する意識調査の結果を発表し、 「我が国の基礎研究から、国際的に突出した成果が十分に生み出されていないとの認識が増加しました」などと書いている。

こういう社会情勢にあっては、我々卒業生が主体となって、外から大学を支えていかねばなるまい。 そのためには、変えるべきところは変えつつも、守るべきところは守らねばならぬ。 名古屋と岐阜の経営統合は、その意味において、遺憾である。


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