これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2018/08/29 医療従事者

過日、北陸医大 (仮) の全病院職員を対象とした、医療安全講習会が行われた。 これは、定期的に行われているものであり、今回は患者取り違えをテーマとして、学外から講師を招聘して行われた。 その内容については概ね同意できるものであったが、一点だけ、容認しかねる問題発言があった。

どういう話の流れであったかは覚えていないが、その講師氏は、 「医療従事者だけでなく、事務職なども含めて全員が」などと発言したのである。 つまり、病院の事務職員は医療従事者ではない、という認識を、その講師は持っていることになる。 いうまでもなく、病院の事務職員は、高度な専門技能を有する医療従事者であるが、そのことを講師氏は理解していないのであろう。

似たような失言は、名古屋大学時代に、某教授の口からも聞いたことがある。 救急医療の話をした際に、「救急隊から医療従事者に (患者を) 引き継いで」などと発言したのである。 ここでは、教授は「病院スタッフ」という意味で「医療従事者」という語を使ったのであるが、 むろん、救急隊員は医療従事者なので、不適切な表現である。 この教授は、高い学識を有し、人格も優れた人物であるだけに、この失言は遺憾であった。

これらは、口がすべった、で済まされるものではなく、単なる揚げ足とりでもない。 その人の「医療従事者」という語に対する認識が、無意識に反映されているのである。 これは、北陸医大の「病院長あいさつ」の件にも通じるものがある。 なお、この問題のある「病院長あいさつ」は、現在も修正されていない。


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