これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2018/08/07 近況

ずいぶんと間があいた。たいへん、良くないことであるが、これには、2 つの事情がある。

第一に、初期研修を終えてからというもの、病理診断業務に追われているという事情がある。 ばらつきはあるが、概ね、生検症例が週に 15-20 例程度、手術症例が 10 例程度であり、その他に他の市中病院からの受託症例が月に 15-20 例程度である。 私は、専門医資格も持たぬ病理のヒヨコであるから、むろん、単独で病理診断を行うことはない。 自分の担当症例について、「切り出し」を行い、標本をみて診断し、報告書を記載するが、この段階では未確定である。 上級医 (主として教授) の確認を受けてから、病理診断報告書として確定されるのである。 私がおかしな診断を書いていれば、その上級医による確認の段階で指摘される。 だから、臨床医の諸兄姉は、3 年目のヒヨコがみているからといって、不安がる必要はない。

なお、このあたりの体制については、大学によっても大きく異なるようである。 学生時代からの友人で、現在は中部地方の某大学にいる某君によると、かの大学では 3 年目のヒヨコには、当初は生検症例は診させないらしい。 その理由はいろいろあるだろうが、一つには、生検症例は検体が小さく、診断が難しいということがあるだろう。 また、切り出しも当初は補助につくだけで、自分が主体となっては行わないという。 私は研修医修了間際の 3 月から切り出しを自分が主体となって行い、わからない点がある場合のみ上級医を呼ぶ方式であるから、だいぶ違う。 我が北陸医大 (仮) のような「習うより慣れろ」方式の促成栽培は、実践的ではあるものの、我流で不適切な技法を身につけてしまう恐れがあるから、注意が必要である。 某大学のような手厚い指導体制は、実戦投入されるのは遅くなるものの、適切な指導者にさえ巡りあえていれば、確実に優れた病理診断医が育つであろう。 私が指導する側にまわった暁には、我が大学においても、そのような教育体制を確立したい。

病理漫画「フラジャイル」では、病理医一年目の宮崎医師が、一日に診断できる患者数について「10 例程度」と述べていたが、これは妥当な数である。 というより、宮崎はむしろ優秀な部類であって、私は、丸一日診断に専念しても、平均すれば 10 例には届かない。 切り出しのある日などは、2 例診断するのがやっと、などということもある。 また、6 月からは、前述のように、市中病院における非常勤医としての勤務も始まった。 これらの事情から、上述のような週に平均 30 例程度の診断を遂行するには、平日だけでは、確実に足りないのである。

第二に、私生活上の問題もある。 昨年の暮頃から、まぁ、いろいろとあって、いろいろと休日に用事があり、でかけることが多い。 年末頃には落ち着く見込みなので、具体的には、その頃に書こうと思う。


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