これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2018/07/10 奨学金

先月から、某市中病院の非常勤医を兼務している。 契約上は北陸医大 (仮) とも非常勤医としての契約なので、形式的には「定職に就かず、アルバイトをかけもちしている」状態である。 むろん、それは建前の話であって、実態としては大学病院の常勤医であるし、そのコネで市中病院の「アルバイト」を紹介されているのである。

この市中病院の「アルバイト」というのも、本当の意味でのアルバイトではない。 なにしろ、私は専門医資格も持たない駆け出しの病理医に過ぎず、診断業務については、ほとんど戦力にならない。 むしろ、いろいろと教えてもらうために、学ぶために市中病院に出向いているのである。

それなのに、私には、市中病院から法外な給与が支払われている。週に一回、赴いて、日当 7 万円 (交通費別) なのである。 仕事らしい仕事といえば、少し切り出しをするだけで、実働は一回 2 時間程度である。 それも、私がやるから 2 時間なのであって、熟練者であれば 1 時間で終わる程度の仕事である。 あとは、自分で標本をみて、後で、その市中病院の常勤病理医からコメントをもらう、という「仕事」だけである。 常識的に考えて、7 万円の仕事内容ではない。

要するに、これは給与名目の奨学金なのである。 研修医の「給与」と、何ら変わるところはない。 3 年目の医師になって、奨学金の出所と額が少し変わっただけのことである。

むろん、これは我々の能力や将来に期待して、社会や病院が奨学金を支給しているわけではない。 単に医師免許という資格が物を言っているだけであって、我々が優秀なわけではない。 そのあたりを、勘違いしてはなるまい。


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